こんにちは。
今回もまた、少し前に当院で行った手術の紹介です。
表題のアブセス(膿瘍)とはそのまま、細菌感染を起こした状態を言いますが
アブセスと単に表現する場合にはほとんどが表皮の膿瘍の事を指しています。
大抵は猫同士の喧嘩によるケガでよくみられます。
知ってました?
猫の犬歯には細い溝がありますよね?
あと、爪もなんだか注射針のような鋭く丸い筒状の構造をしています。
これらはどれも、
喧嘩相手に効率よく毒(ばい菌)を注入できる仕組みになっているんですね。
なので猫のひっかき傷で、特にポチっと刺さっただけの傷など
要注意ですよ。
もしかしたら3~4日後にぷっくりと膿んで腫れてくるかも知れません。
さてさて今回は
そんなアブセスの猫さんですが、
クロミちゃんという若い女の子ですが
一度余所の病院で手術したけれど直りきらずに
再び同じところが化膿して破けてしまった子でした。
この時、鼻がズビズビですこしボケボケなお顔のクロミちゃんでした。
術前の、患部の様子です。
黒矢印の白く見える線が前回の手術の痕だと思いますが
複雑な形に縫われたのか、当時の膿瘍の酷さが窺われます。
中のポケットは存外に深く、
白矢印のところまで鉗子が入っていきました。
見た目の皮膚の欠損にくらべて、大きく切開しないといけません。
切開して、ポケットを完全に露出させたところです。
ポケット内部は嚢を形成していたためこのままではきちんと癒着してくれないので
古い結合織の部分を取り除いて、消毒してから縫合します。
終了です。
この子の様に、猫の化膿は時としてとてもしつこく、厄介な事があります。
もっと深く大きかったり、まだ破裂する前でしたら
ドレーンチューブを装着して毎日洗浄していくという方法をとる事もあります。