院長からのお便り

2017.12.31更新

今年は開院5周年という事もあり、例年以上に気を吐いていたように思います。

とはいえ、このサイトの更新状況たるや惨憺たる・・・

来年こそはもっとマメに更新するように心がけてまいります。

また、来年春からは新たなスタッフも増えますので、現スタッフ共々よろしくお願いします。

次は10周年に向けて、只管走り続ける所存です。

1年間ありがとうございました。

投稿者: 博多北ハート動物病院

2016.10.21更新

先ほど、他県のとある動物病院さんからうちのホームページについての問い合わせがありました。

「ホームページはどこの会社で作ってもらったか?」という趣旨の問い合わせでしたが、

よくよくお話を聞いてみると、どうも全く縁のないHP制作会社がうちのホームページを参考資料として

あたかも自分たちが作ったHPのサンプルかのようなセールスをしてきて

鵜呑みにして契約されたものの、いざ制作に入って、希望を伝えてもその通りにできないわ

納期は完全に遅れるわと、トラブル続きだそうで・・

で、本当にうちのホームページを作ったのか?と、僕のところへわざわざ連絡してこられた次第。

名前を聞いて、そういえば確か、なんどかテレアポあった会社だなと、なんとなく思い出しましたが

もちろん制作をお願いした会社とは全くの別物なので、その旨お伝えして

うちの担当の会社にもチクるようアドバイスしておきましたが。。。

 

うちのホームページを使って詐欺まがい?のセールスをするなんて言語道断!

果たしてどれほどの効果があるのかわかりませんが、少しでも注意喚起できればとの記事です。

 

 

 

投稿者: 博多北ハート動物病院

2016.05.26更新

よろしく、お願いします!

投稿者: 博多北ハート動物病院

2016.02.05更新

突然ですが

寒いですね。

暖房器具が心の友的な昨今ですこんにちは。

さて先日、診察中の事ですがファンヒーターの不燃ガスによる中毒の

疑いがある子がきました。


思い起こすに、今からもう20年ほど前

最初の代診先で出会った事例ですが

年始早々でしたけれど、

ミニチュア・ダックスフントを飼ってらっしゃる方で、

なんでも前年の暮れ頃から、飼い主さんが帰宅すると決まって、

その子が吐いてしまうという事で

「何か、私がこの子に嫌われるような事をしたんでしょうか」

と、

一人暮らしのOLさんでしたけども、

とても悲しそうに相談をされた事があります。

確かに、

精神的なストレスからくる嘔吐と言うものもあるでしょうが、

それで片付けてしまうには飼い主さんが可哀相で。

症状が出始めた時期の事とか、

いつも飼い主さんが帰宅して30分くらいの間に

嘔吐が起きること等、細かく確かめていって、

「もしかしたら、
 ファンヒーターをつけた時に灯油臭くないですか?」

と試しに、帰宅してからファンヒーターをつける時に、

十分に換気をしてもらうようにお話したところ、

これが見事に的中していたらしく
(獣医としてそれで良いのか?という疑問は残りますが・・・)

後日飼い主さんから喜びの電話を頂きました。

彼女にとっては、ワンちゃんの嘔吐が止まった事よりも、

嫌われてたわけじゃなかったと言う事のほうが

嬉しかったようですけれど。



似たような事例で、

これは夏場の話ですが。

長いこと心臓病を患っていたミニチュア・シュナイザーで、

飼い主さんがある日、

いつもの心臓病の薬を貰いに来た時に

「いつも暑い日に限って変な咳をしたり目やにが酷くなる」

というお話をされました。

心臓病を患っている犬にとって、夏場の暑さは

最も気をつけなければいけないストレスの一つなんですが、

当時の私もてっきりそのせいだと思ったんですね。

でも、よくよく話を聞いてみると、

暑いのでエアコンをつけて部屋を涼しくしていると症状が出るとの事。
飼い主さんに「風邪でしょうか?」と聞かれて、

私も気管支炎か何かかも知れないと思ったんです。

で、いつもの心臓病の薬に加えて、

気管支炎の薬を5日分ほど調合してお渡ししたんですが。。

後日お話を伺ってみると、

薬を飲ませても全く効果が無いとの事・・

そこで思いついたのがエアコンでした。

エアコンのカビが原因じゃないか?と思ったので

その旨お話してみると・・・

なんと

その飼い主さんは、

私の何気ない一言で思い切ってエアコンを

新しいものに変えてしまったそうです^^;

それから次に見えられた時に

「嘘みたいに症状が治まりました!」と。

それはもう、大変喜んでおられましたが、

当時の私は、何の確証もない私の戯言にさらっとエアコンを買い換えて

しまった事に衝撃を受けたのを覚えています。



この他にも、例えば加湿器で使っていたアロマが原因での中毒とか、

今はあまり見かけませんが噴霧式の芳香剤が原因だったりとか

古くなった掃除機の通風孔から、

カビやハウスダストまみれの空気が吹き出していたりとか。


私達ニンゲンのための生活用品の中には、

場合によっては一緒に暮らす動物に害を与えてしまう事があるんですね。

投稿者: 博多北ハート動物病院

2015.05.07更新

「犬 乳腺腫瘍」と検索してみたという人、かなりいるんじゃないでしょうか。

そして行きあたるのが

避妊手術と乳腺腫瘍の発生率なる悪魔の如き数字。。


初回発情前に手術      >> 0.5%
初回発情後に手術      >> 8%
2回目の発情後に手術    >> 26%
2.5回以上発情後の手術 >> 予防効果なし
  
ざっくりと、

「2回目の発情までに手術しないと、
 4頭に1頭は乳腺腫瘍ができますよ!」
「だから1歳の間に手術しましょう!」


というわけです。

さてこの数字、果たして本当でしょうか?

昔、ちょっと調べてみたことがあって、

それでわかったのが

それぞれの発生率というか、正しくは割合なんですが、これは本当です。

問題は、この数字(割合)の母集団で、

「乳腺腫瘍を発症した雌犬の中で」

初回発情前に手術して発症した子が0.5%
1回目の発情後に手術して発症した子が8%
2回目の発情後に手術して発症した子が26%
3回目の発情後に手術したり、手術自体をしてない子が残りの65.5%
いた。

というデータなんですね。

なので正しくは、

乳腺腫瘍を発症した子の中で
およそ4頭に1頭は2回目の発情後に手術をした子だった。


というデータなんです。

だいぶ話が違ってきますね。



では、そもそも犬全体の中で

具体的に例えば日本に住む犬全部の中で

乳腺腫瘍はどの程度発生しているのか?

というと


これは別の疫学調査データですが、

年間で10万頭のうち198頭に発生がみられるそうです。

これ、10万を198で割ると、ざっくりとですが

手術するしない全部含めて全体では、

500頭に1頭が乳腺腫瘍になる確率があるという事になります。

で、この198頭に先ほどの「割合」を当てはめてみると・・・

初回発情前に手術    0.5% > 198頭中の0.99頭
1回目の発情後に手術  8%  > 198頭中の15.84頭
2回目の発情後に手術  26% > 198頭中の51.48頭
3回目の発情後に手術
または手術してない犬   65.5%> 198頭中の129.69頭

という事になるので、これをおよその整数になおして整理すると・・・

年間の乳腺腫瘍の発生率は

初回発情前に手術    >  10万頭に約1頭
1回目の発情後に手術  >  10万頭に約16頭  > 6250頭に1頭
2回目の発情後に手術  >  10万頭に約51.5頭 > 約1940頭に1頭
3回目の発情後に手術
または手術していない犬 >  10万頭に約130頭 > 約771頭に1頭

となります。

771頭に1頭を高いとみるか低いとみるか、

これは各々の考え方・捉え方次第だと思いますが・・・

少なくとも4頭に1頭になんかなりません。  

それと、

初回発情前の避妊手術が乳腺腫瘍の発生を限りなくゼロに抑えてくれる

というのはどうやら本当みたいです。



ただし、これら疫学データはかなり古典的なデータと言えるもので

最近のペット事情にそぐわないところもあると思いますので

あくまで避妊手術を考える上での参考データのひとつ

としてお考えください。

           




投稿者: 博多北ハート動物病院

2013.05.18更新

こんにちは。

今回は予防注射について少し。

特にワン子の混合ワクチンの場合、私は必ず

「数日以内にシャンプーしていないか」

「時々、博多から出て県外などへ連れて行く事はないか」


を確認します。

これは、

シャンプーの有無については、

我々人間と違って全身を体毛に覆われているワン子(ニャン子)の場合、

程度の差はあれほぼ必ず「湯冷め」をします。

湯冷めは、体毛のために十分に水分を拭き取る事ができないため、

ドライヤー等で乾燥させる事になるのですがその時

風で水分を蒸発させる時に気化熱といって、一時的に皮膚の熱も奪っていくために体が「冷め」てしまう現象です。

一度冷えた身体を温めようとして、だいたいは翌日か、翌々日あたりに発熱がみられます。

大型犬でしかも成犬だと体力も十分ですからあまり気にしませんが

それでも人間のお子さんのように、どうかすると体調を崩す事もあります。

そこに、ワクチン接種という体に異物を入れる注射を打つ事でも多少の発熱がみられるので、

これら二つが重なると思わぬ高熱となってますます体調を崩す可能性が高くなります。

特に狂犬病予防接種のシーズンなど、年に1~2回しか病院にいらっしゃらないワン子で

汚いからと当日の朝洗ってこられる方がいますが、

泥んこでもなんでも構いませんので、絶対に洗わないようにお願いします。

ただし、体力のある大型犬でしたらあまりに暑い日などは、

熱中症対策としての水浴びは構わないかなと思います。



また、特に九州の場合、

熊本・大分・宮崎・鹿児島といった、いわゆる畜産県では

ワン子ではレプトスピラの感染の可能性があるので

打つワクチンも7種・8種・9種といった、レプトスピラの予防もできるワクチンが推奨されますが

この病気はいわば風土病的な側面をもつ病気なので、その土地に行かなければ感染しません。

加えてこのレプトスピラに対するワクチンが、発熱などの副反応も強い傾向にあります。

なので博多から出る事はなさそうなワン子の場合、このレプトスピラが入っていないワクチンをお勧めしています。

ただし、もし引っ越しその他で畜産県やざっくりと山の方へ連れて行く事になった場合には、

その2週間前には再度、改めてワクチン接種をお願いする事になります。

要は、

必要なワクチンを必要な時に打つ

という考え方です。

これは、突き詰めていけばレプトスピラ以外のワクチンに関しても、

それぞれ抗体価が下がってしまったら打つというプログラムが最適なのですが、

それをやろうとすると検査費用だけで毎年数万円かかってしまって、あまり経済的ではないため

比較的副反応が出にくいワクチンであれば、

毎年打っておいて常に抗体価を維持しておいた方が賢明であろうと言う事になります。

ただ、毎年打つワクチンだけに、接種時の体調には万全を期して

異常が起きないように計らうのが私達獣医師の務めでもあり、

飼い主様にもご協力いただきたいところでもあります。


副作用によるリスクをできるだけ軽減・回避するためには、

・ワクチンの前後3~4日間はシャンプーをしない

・どんなに忙しい方でなかなか病院に行く時間が取れないとしても、
 少しでもワン子の体調に気になるところがあれば打たない。


・できるだけ平日の午前中など来院数があまり多くない時間帯を選び
 (ワン子が待合室などで無用に興奮するのを避けるため)
 接種後万が一何か異常を発見してもすぐに病院に連絡を取って対処してもらえるようにしておく。


・接種後はまっすぐ帰宅して、ワクチンを打った上に慣れない病院で疲れているワン子を十分に休ませ、
 2~3日は安静にして何か異常がないかをよく観察する。

 午前中にワクチンを打って、その日の夜になって体調が悪いと連絡をもらう事がありますが、
 ワクチンの後ワン子を連れたまま買い物に行ったり、どこかに一緒に出かけているケースがよくあります。

ワクチンの副作用の主な原因は抗原そのものよりも
 溶液中に含まれるその他の成分に由来するものが多いという事もわかってきているので、
 もしも過去に、ワクチンで何かしら副作用が起こった経験がある子の場合は、
 ワクチンの証明書を参考にして同じメーカーのワクチンを打たない。

 (メーカーごとにワクチンの溶液が違うので、溶液由来の副作用を回避できる可能性があるため)

という事も大切だと思います。

また、ワクチンを打っていても、ウィルスには「暴露」されます。

ただ、免疫力が強化されているためにウィルスが増殖できず、「発病」しないまま身体が駆除しているだけです。

なので、ワクチンを打っていても体調不良だったり、思ったほど免疫力を確保できていなかったりすると、

暴露したウィルスの増殖を許してしまい、発病する可能性があります。

ワクチンは決してウィルスを寄せ付けないバリアーではないという事です。

投稿者: 博多北ハート動物病院

2013.01.25更新

こんにちは。

さてさて、突然ですが

猫にスルメを与えると腰が抜ける と言うような話を聞いたことはありませんか?

イカやタコ、あとはエビ・カニといった甲殻類はチアミナーゼという、チアミン(ビタミンB1)を分解する酵素を多く含んでいますが

この酵素を多量に摂取してチアミン欠乏症に陥ると、後ろ足のふらつきや麻痺が起きることがあります。

これが「腰が抜ける」と言われる症状の正体です。


でもチアミナーゼは熱に弱い性質がありますので、実は焼いてしまえば問題ありません。

なので「猫がスルメを食べると腰が抜ける?」というのは、実は間違いなんですね。

焼いたスルメのチアミナーゼのほとんどは、熱で活性を失ってますから。

ただしイカタコ類は消化に悪いですし、スルメなど干したものは水分を吸うと急激に膨らむため、

嘔吐や消化不良の原因になったりしますから与えない方が良い食材なのは変わりません。


 

投稿者: 博多北ハート動物病院

2013.01.08更新

ずいぶん前になりますが、健康な心臓のエコーのデータを集めるために、トリミングに来る健康な子達を対象に心臓のエコー検査をさせてもらった事があります。

その時、検査前の聴診などでは心臓の異常を認められない子でも、実際にエコー検査をしてみると心臓の弁膜の変性などの異常があるケースが、時々見られました。

特にワン子の場合、
心臓の雑音は、主に左心室と左心房の間の僧帽弁がきちんと閉じられていなかったりして逆流している事が多いですが、これは歳をとって弁膜が変性・変形してきちんと閉じなくなる事で起こります。

ところが、変性は起こっているものの弁と弁の隙間がなく、心臓の機能としては正常なケースが時々見られます。
(中には奇跡的に、としか言いようのないほど弁の変形が進んでいながら血液の逆流がない子もいます)

逆流がないわけですから、まだ心臓に対する負担はないか、あっても治療の必要なしと判断されるほど軽微なものが多く、言ってみれば潜在的な心臓病予備群という状況です。

ところが、こういう子がひどく興奮したり、麻酔などなんらかの重大なストレスにさらされた時、この奇跡的なタイミングで隙間なく閉じられていた弁の動きが乱れて血液の逆流が生じて、心臓病が発症してしまう事があります。

また、同じく聴診などでは異常を認めないものの、エコー検査をしてみると右側の弁(三尖弁)ですでに逆流が始まっている事があります。

右心系は左に比べると血圧が低いため、血液の流れも速くないため勢いがなく、逆流してても大きな音が立たないので気がつきにくいのです。

右心不全は咳したりという事もほとんどないのでご家族が病気の進行に気がつきにくく、散歩中に失神したり身体がむくんで来たりおなかに腹水がたまっておなかが張ってきたりと、末期になってから気がつく事もあるくらいです。

そんな子に、知らずに麻酔をかけたりすると当然、麻酔事故が起きる可能性は高くなります。

普通、特に異常がないのに心臓のエコー検査をする事は稀なので、麻酔事故やその他の突然死にはこういうケースも含まれているのではないかと思います。

心臓病に熟練している獣医師なら、初期の三尖弁閉鎖不全は判らないまでも、重度の逆流が起きていれば聴診で検出できますが、残念ながら100%ではありません。


また、
老齢のペットに対する麻酔で、心不全と併せて注意しなければいけないのが腎臓の機能低下です。

ここでのお話は、生憎と犬や猫でのデータを持ち合わせておらず、人間でのお話になりますが、腎臓の構造上同じ理屈だと思います。

まず、腎臓は加齢と共に腎臓そのものの重量が軽くなっていきます。

これは、腎臓の内容で加齢と共に失われていく部分がある事を示しています。

血液をろ過する装置である糸球体という器官は、糸球体に流れこむ細動脈という血管が狭くなったりふさがったりするために働かなくなって徐々に失われていき、糸球体の数の減少に伴って尿を濃縮したり薄めたり、老廃物を排出する能力が低下します。

しかし、年齢に伴う変化が生じても、体の要求に答えられるだけの腎機能は保たれるので、年齢とともに生じる変化は、それ自体が直接病気を引き起こすものではありません。

しかしこうした変化によって、腎臓の予備力は確実に低下します。

イメージとしては、若い時に10個の糸球体があったとして、それぞれが10%ずつ働けば全体として100%機能していたところを、加齢と共に糸球体の数が10個から5個、2個と減っていくに従って、それぞれが20%、50%分働かなくてはいけなくなるため、機能的に余裕がなくなると思っていただければ良いと思います。


また、麻酔時には心臓の拍動は緩やかになって、血圧も下がる事が多いです。
血圧低下作用の少ない麻酔薬もありますが、一般に麻酔時には程度の差はあっても血圧の低下が起こると思って良いでしょう。

さらにそれが外科手術の場合は、出血その他の侵襲刺激のために低血圧になります。

血圧が下がって、特に腎臓へ血液を運ぶ血管の血圧が下がりすぎると、下がった血圧を戻そうとして腎臓の血管が収縮するか、場合によっては閉じてしまうために、糸球体に流れ込む血液の量が減ってしまって、先にお話した、加齢と共に減っていく糸球体と同じ現象が極めて短時間で起こってしまいます。

まだ腎臓に予備力があれば、現役の糸球体ががんばる事で腎機能を維持できるのですが、この予備力が不足している場合は、失われた機能を補うことができずに腎機能低下症ー腎不全という、病的な状態になってしまいます。

通常、麻酔の前後の的確な検査・処置と術中のモニターと輸液での血圧維持でこの事態は避けられますが、老齢の場合は残念ながら必ずしも100%とは言えません。

これは、他にも原因は考えられますがその子の臓器の予備力の低下も一因になっています。



今回お話した「まだ病気ではない状態」は、麻酔に限らずどんな事がきっかけでそのバランスが破綻して病的状態になるかわからない部分があります。

獣医療では一般に、何か異常がない限りエコーやレントゲンなど専門的な検査は行われていませんが、人間ドックのように、ある程度の年齢になったらより精密な検査を受ける機会があっても良いと思います。

投稿者: 博多北ハート動物病院

2012.12.14更新

先日、あるワン子が亡くなりました。

ラムちゃんという、とても大人しくてお利口なシェルティの男の子でした。



およそ一か月前、初めて来院された時は、

主訴が下痢だった事もあって、しつこくお腹を触診して何も触らない事は確認してありましたがその時

片方の睾丸が下りてきていない事にも気がついて、

歳もとっていた子だったので下痢が治ったらどこかで陰睾の手術を・・とお勧めしたところでした。

ところがそれからおよそ一か月後、再び下痢になったとの事で来院されて

前回と同じように診察を進めていく中でお腹を触診してみると・・・

下腹部に触れた瞬間にそれと判るほどに巨大な腫瘍ができていました。

わずか、たったの一か月で、その子の状況は激変していたのです。

精巣癌の徴候のひとつでもある貧血が少し見られ始めていた事と

なにより急激な腫瘍の成長に、

もしかしたらまだ癒着など生体反応が追い付いていなければ無事に摘出できるかも知れない・・

と、お母さんとも相談して手術に踏み切りましたが、

残念ながら、腹筋にまで広範囲に転移してしまっていて、腫瘍部分には到底手を出せる状態ではありませんでした。


         上:癌化して歪に変形している睾丸
         下:お腹の中のリンパ節に転移して大きくなった癌


この子のように腫瘍が急激に巨大化するケースは、僕の経験ではそれほど多くはありません。

しかしここまで急激ではないにせよ、

ある程度の年齢(およそ4~5歳)になると腫瘍化(癌化)してしまう子はとても多いです。

陰睾が腫瘍化する確率は正常な精巣の13倍というデータもありますが、

僕がこれまで診てきた中で腫瘍化が確認できなかったのは

陰睾の手術を受けた子か、転院したり亡くなったりして確認できなくなった子だけですので、

個人的には腫瘍化率はもっと高く感じています。



博多に開業して、まだまだ少ないながらワン子の診察をしてきた中で

陰睾(潜在精巣)の子が異常に多い事に驚いています。

4月から11月までの間に来院されたワン子達、およそ400頭ほどの中に、

すでに10頭以上の陰睾の子を確認しています。

以前働いていた川崎でも年に2~3頭はいましたが、年間の延べ診療件数1万余の中の2~3頭ですので、

その確率は非常に低く、至って自然な発生の仕方だったと思います。

では何故ここではこんなに多いのか?

たまたま偏って診察していただけなのか?



陰睾は遺伝する病気なので、

これだけ発生が多いということはつまり、

陰睾の子を使って繁殖させている飼い主さんや、業者さんがいるという事と、

陰睾の子の繁殖をさせないようにとの啓蒙がいまひとつ浸透していないのでしょう。

中には、陰睾側の睾丸だけ摘出して生殖能力を残してある子もいました。



陰睾は劣性遺伝としてその家系に伝わる奇形なので、

直接陰睾だったワン子からだけでなく、その子孫から隔世遺伝を起こす可能性もありますから

今となってはもう、今いる陰睾の子から血統的に遡って原因となる家系を見つけるのは難しいでしょう。

ですが、陰睾の子をその都度手術して、その子が癌で亡くなってしまう危険を回避しつつ、

将来同じような目にあう子を減らすためにも

今からでもこの病気の子達の去勢手術をしっかりと広げていければ

いつかラムちゃんの様な不幸なワン子を減らせる日が来ると信じています。

投稿者: 博多北ハート動物病院

2012.11.15更新

昔から良く言われる言葉ですね。
ここでは人間ではなく、動物のお話。
以前「痛そう」がイタイでも似たような話をしましたが、今回はもう少し突っ込んだお話です。
ただし、きちんとした科学的検証がなされているわけではない部分もありますので、念のため。

人医学でも獣医学でも、最近の流れとしてはこれまでの西洋医学に代表される対症療法から、徐々に自然治癒力を高める東洋医学的な考え方も主流のひとつとして認識されつつあります。
西洋医学には即効性という心強い効果がある代わりに、副作用という怖い代償も付きまといます。
東洋医学では緊急性の高い病気では手遅れになる恐れがありますが、時間をかけて体質を改善することで自然本来の治ろうとする力を惹き出して治すので、副作用はありませんし、再発させないための根本治療に繋がります。
最近ではこの一長一短の治療方法を上手く組み合わせる事で、よりリスクの少ない治療方法が盛んに研究されています。

いわゆる、身体が自動的に正常な状態で平衡を保とうとする、ヤジロベイのようなしくみを恒常性(ホメオスタシス)と言いますが、自然治癒力が高まるとこのホメオスタシスの機能がより活発に働く事で、身体の不調な部分を正常に戻そうとする働きが生まれます。
自然治癒力やホメオスタシスの働き方には、その人の心の動きやストレスの程度、食生活に生活習慣などなど、様々な要因が影響しています。
特に心が落ち込んでいたり、ネガティブな状態では自然治癒力は上手く働きません。
この辺が「病は気から」と言われる所以でもあります。
「常にプラス思考」でいる事がとても大切なんですね。
さらには、思いついたことを後回しにせずその場で行動に移すという「ひらめきの行動」を心がける事も、この自然治癒力を高める働きがあります。
動物が怪我しても勝手に治るというイメージがある理由の一つは、この「ひらめきの行動」が彼らの基本的な行動パターンなので、人間よりも自然治癒力が働きやすい状態にあるからだと思います。

さて動物の場合、嬉しい時、得意になってる時、怖い時、心配してる時、拗ねてる時など、確かに心の動きがあります。
がしかし、私はそれ以上に、ワン子やニャン子が外から受ける日々のストレスに気をつけて欲しいと思ってます。
それは、例えば何か調子が悪い時は、病気そのものだったり、入院させられてたり、病院通いだったり
(獣医としてこれで良いのか・・・)
とにかく様々なストレスが、病気が治るのを妨げる要因になってしまうんですね。
病気じゃない時、普段の生活の中でもこの子達の周りにはたくさんのストレスが存在していて、この子達の体調をおかしくさせてしまう可能性があります。
それは生活環境によるものもあるでしょう。
そしてその中には、密室空間で常に受け続ける飼い主さんの心の動き、心の波動もストレスになってしまうんです。
前にも少しお話したかも知れませんが、この子達は常に、ご主人の様子に見えないアンテナを張り巡らせています。
お父さんお母さんの心の動きにとても敏感に反応します。
例えば、飼い主さんに赤ちゃんができて、そっちにかかりっきりになって、これまでの飼い主さんの意識がワン子に向かなくなった途端に色んな体調不良を起こし始めたりとか。
似たような話はいくつも聞くと思います。
そればかりじゃなく、毎晩毎晩、仕事から帰ってきては飼い主さんの愚痴を聞かされてたりとか。
飼い主さんの精神状態が落ち着いていないと、その波動=雰囲気がそのままストレスとなってこの子達にふりかかってくるわけです。
飼い主さんのネガティブな波動がそのまま、この子達になんとなく居心地が悪いと思わせてしまうのか、自然治癒力の発揮にブレーキをかけてしまうんですね。
ではどうすれば良いのか?
飼い主さん自身が、自分自身のために常に「プラス思考」でいる事、自然治癒力を高める効果があると言われている「ひらめきの行動」を心がける事が、一番だと思います。
ワン子ニャン子にとって世界で一番影響力を持つ飼い主さんが普段から「病は気から」を遠ざけて常に前向きな姿勢でいられるなら、少なくともその子が余計な病気にかかってしまう確率は、飼い主さんが落ち込んでいるよりはうんと低くなると思っています。

人もペットも「病は気から」。


そうそう。
夫婦喧嘩の耐えない家庭というのも、かなりのストレスを与えますのでご注意を。

投稿者: 博多北ハート動物病院

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