2013.07.04更新

さてさて。

今回はちょっとお年のニャン子でにゃにゃちゃんと言います。




この子の手術もだいぶ前の手術になります。

はじめ、左肩らへんにしこりがあって様子をみてもらっていましたが

しこりを舐めていたらしく、自壊してしまったため摘出となりました。

その時、同時に首筋にあった小さな、数ミリの吹き出物状のしこりも取る事に。




左肩付近にできていたしこりです。
直径は約1cm。とっても硬いです。




こちらは首筋の「吹き出物」状の腫瘍です(矢印)
ご覧の通り、よ~っく目を凝らしてみても、見た目には腫瘍に見えません。


今回の手術はあくまで、左肩の大きなしこりの摘出で、

首筋の吹き出物はついでに取っちゃおう 

という事になっていました。



左肩の大きなしこり(直径約1cm)の摘出中





首筋の吹き出物の摘出中。


手術は無事に終わり、摘出したこれらのしこりも病理検査に出してみると・・


大きなしこりはケラトアカントーマ(偽癌性軟属腫)といい、

扁平上皮癌と似たような構造をしていますが良性の腫瘍です。

今回は舐めて自壊したので摘出しましたが、

もちろん、再発や転移の心配はありません。


もうひとつ、小さな吹き出物のようなしこりの方は

同じく扁平上皮癌に絡む皮膚病変で

Bowen様表皮内癌という診断が出ました。



いわゆる、Bowen病という皮膚の病気で、

人の場合はここから扁平上皮癌に至る事は稀とされてますが

猫の場合は約17%が扁平上皮癌に進行するという報告もあるのと

多発性で、放置しておくと周辺に増えてしまう可能性もあるため

特に猫では早い段階で摘出が望ましい皮膚疾患のひとつです。

また、摘出した周辺に再発する可能性もあるため、

引き続き経過を監視する必要がありますが、

再発しなければもちろん問題はありませんし、

再発があった場合にも早期に摘出してしまえば皮膚癌に進行する事もありません。

ただし、まんがいち扁平上皮癌に発展してしまうと、非常に厄介なので

そうならないように普段の注意が必要です。

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