治療紹介

2014.03.29更新

こんにちは。

今回は、誤食のワン子です。



名前はダニー君、生後8か月のキャバリアの男の子ですが、

はじめ、前日から何度も吐いているとの事で来院されました。

普段から色々と・・・イタズラ好きな子の様で、

何か詰まってるかも知れないため、造影検査をしてみる事になりました。



これは造影前のレントゲン写真です。

はっきりと判るような「異物」は写ってません。





これは、造影剤を飲ませた直後です。

直後なのでまだ、造影剤が食道にも少し残ってます。



このあと、定期的にレントゲンを撮っていって、

造影剤の広がり具合、進み具合をみて

レントゲンには写らない異物を検出したり

腸壁に潰瘍や腫瘍がないかを検査していきます。

そして、3時間以上経っても造影剤はダニー君の胃から出ていかず

これはやはり、何かが胃の出口に詰まっているのだろうと

この時点で試験開腹を行う事になりました。



午後の診療の後、

造影検査を始めてからおよそ7時間ほど経ってましたが

手術に入る前にもう一度、念のためにレントゲンを撮ってみました。



やはり造影剤は胃の中に広がってはいるものの

そこから先へは行ってません。

やはり「何か」が詰まっているようです。




麻酔をかけて、お腹を開いて

腸を調べてみると・・・



場所は十二指腸、

白矢印の間、「腸閉塞部分」と書かれた約20cmに渡って

ヒモ状の「何か」が詰まっているようで

どす赤く、正常な箇所に比べて3倍以上に腫れあがっていました。





場所が十二指腸である事と、触ってみると案外と中が動くので

そのまま胃まで誘導して

腸切開ではなく胃切開で取り出す事にしました。







出てきたものは見てのとおり

シャツ?かなにかの切れ端でした。

これが写真上のように棒状になって詰まってたんですね

布きれとかをいたずらする子はよくいますが

これ、広げると実際には30x30cmくらいありましたから

さすがに通らなかったようです。



今回の手術では、たまたま胃切開でアプローチできましたが

腸を切ると術後72時間は絶食になるのと、

その後もゆっくりと固形食に戻していかなければならず

どうしても入院期間が長引いてしまいますが、

胃切開の場合は、

24時間後には流動食からですが食べさせる事ができるので

比較的早く退院させる事ができます。

この子も、術後の経過はすこぶる順調で

手術の翌々日には退院していきました。


ただね・・・

この「誤食」ですが

お財布に痛い思いをした飼い主さんは懲りても、

実際にお腹を切られて痛かったはずの本人が懲りる事はまずありませんので^^;

一度やらかした子は何度でもやると思いますから

くれぐれもご注意を!



投稿者: 博多北ハート動物病院

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