治療紹介

2013.01.31更新

皮膚にできる腫瘍には様々なものがあります。

そもそも、

皮膚の表面にできているのか?

皮膚の中にできているのか?

皮膚の下にできているのか?

これだけでもずいぶんと違ってきますが、そのあたりの詳しいお話はコラムの方で

いずれお話させて頂くとして。

今回は皮膚の下にできた腫瘍です。

今回の患者さんはペコちゃんという、柴の女の子です。



写真はちょっと緊張気味ですが、とっても人懐っこいワン子です。

さて、

なにやら、頭のてっぺんにしこりができているとの事で、

しかもそれがだんだんと大きくなってきているので心配とお父さん。

触ってみるとなるほど、大きさ1.5×3.5cmほどのおおきなしこりがあります。

場所が皮下組織に乏しい頭部なので、

しこりが皮内にあるのか皮下にあるのか判りにくかったですが

試験的に注射針で穿刺してみたところ

出てきたのはなにやら垢のような汚れのような。。

なので恐らくは毛包腫もしくは毛母腫と呼ばれる、

毛根が変化した良性の腫瘍であろうと判断できました。

良性の腫瘍なのでとくに悪さはしませんが、

今回はだんだんと大きくなってきているという事で

場所もあまり皮膚にゆとりのない頭部でもあったし

今のうちに摘出する事にしました。

例えば少し切開して絞り出せばしこりはなくなりますが

この手の腫瘍は袋が残っている限り何度でも膨らみますので

可能なら袋ごと摘出が望ましいです。



さて、手術中の紹介です。



かなり大きなしこりなのが判りますね。

皮膚とは独立しているようなので、皮下の腫瘍である事が判りました。

通常の毛母腫だと、

毛根がある場所が皮内なので腫瘍も皮内にできる事が多いんですが

この腫瘍は皮下にできていました。

なので、皮内であれば皮膚ごと摘出しなければならないところを

今回は皮膚は切開のみで腫瘍を摘出する事に。




露出させた腫瘍(嚢胞)です。

今回のケースでは、皮下はおろか、一応皮膚との連絡はあったものの

写真の嚢胞本体は実は、頭皮下の筋肉のさらに下にありました。

嚢胞の先端は管状の構造を持ち、耳の脇を通って顎下まで繋がっているようでした。

なぜこうなったのかは不明ですが、





嚢胞の中身はご覧の通り

垢や毛の集まりでしたから、この腫瘍の正体が毛包腫(毛母腫)であることは

間違いなさそうです。

投稿者: 博多北ハート動物病院

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